こんなタイトルで、ごく一般向けに今回の入院で味わったことを、ごく冷静に書くつもりだった。
けれどこれは、人を救うはずの病院で殺されかけた、わたしの呪詛だ。
コロナ禍に「コロナ以外で」実際に一般病棟へ入院した身としては、Twitterでよく見る「重症患者以外も入院させろ!」なんて意見どころの話じゃありません。
現実はもっと深刻で、残酷です。
「病院に殺される」
わたしが今回、10日間の入院で何度も感じ、病院側にですら何度も言ったその言葉の意味を、単なる入院記録ではなく警告を込めて残します。
元々の記事内容
元々は
- 深刻すぎる人手不足
- 連携を一切取らない
- 医師も来ない
- ナースコールは無駄
この4点に絞って書くつもりでした。
ただどうしてもわたしの感情が優先してしまうし、同じ多発性硬化症患者、ケシンプタを試す患者にはこういった事実のほうが良いだろうし、
何より「入院すればすべて解決する」と考えられる幸せな(以前のわたしのような)頭には病院の実態を明かすほうが確実に良いと思いました。
追い出されるまでの入院記録
正直今回は入院記録を残さずに済む、何事もなく終わると思っていました。
わたしが今回入院したのは免疫抑制剤の新薬「ケシンプタ」への切り替え、様子見目的です。
そこで味わった2日目までの地獄の副作用は以前の記事に記しておりますが、最初の投与から20日経ち「副作用はいつかなくなる」「たぶん2~3回目ではなくなる」とか言われらけれど副作用はより強くなり、昨日まで右腕も動かず、
と言われ退院した、わたしへの病院の対応についての話とその後も続く副作用についての話です。
絶対に「ケシンプタ副作用重篤例」に上がらない理由
わたしは若くて喫煙歴もないため、予想外に病院初のケシンプタ副作用重症例となりました。
しかしノバルティスのデータに「重篤例」としてわたしのデータが載ることはないでしょう。
それは病院側に隠蔽された、というか、より正しくは
- 誰も話を聞いてくれなかった
- 誰も聞いた通りにカルテに書いてくれなかった
- 命に関わるタイミングで誰もいなかった
そこに尽きます。
副作用と病院対応
入院1日目は、午前に入院手続きを行い午後から入院しただけで何もありませんでした。
と、言いたいところですが、ここでかなりたくさんの人がやってきて、そのうち薬剤師さんからのお薬手帳チェックと持参した薬のカウントがありました。
これが無理解の1回目です。
カルテで共有されない服用薬
入院日当日、わたしは薬剤師に1度目の
との説明をして、確認のためにという薬剤師さんに薬を渡しています。
コロナ指定病院あるある:忙しくて話を聞かない
ただ難病の新薬調整で入院するとなるとたいてい専門医のいる大学病院となってしまいます。
そして大学病院では後輩育成のため、入院中には「担当医」がついて主治医は回診のときくらいしか会えなくなります。
そして大学病院となると、たいてい「コロナ受け入れ病院」に指定されています。
この後わたしは数十人の看護師と担当医、薬剤師、担当医が依頼を出した精神科医チームに服用薬についての説明を、求められればそれはそれは詳細にしています。
毎度毎度、利き手でない左手で一生懸命に「24時間時計」まで書いて。
が、すべてカルテに残されることはなく
3日後に組織された精神科医チームには「今のキミに薬の管理はできない」と薬を取り上げられ、
- ようやく話が通じたのは退院前日
- 薬を返してもらえたのは退院日
- 新たに薬を処方され「必ず守るように」「既存薬は触らないように」との厳重注意を受け
「結局通じなかったのだなあ」と、現在も「自然消滅するまでの我慢…」と念じながら副作用に苦しむ羽目になっています。
服用薬の複雑性
服薬時間すら普段から全任せされているわたしの、突然「朝の薬」とか言われたときの衝撃がわかりますか?
血中濃度重視の服薬時間
わたしは服用薬を1時間単位で管理しているので、病院の「朝・昼・夕・眠前」で行えるものではありません。
病院規則だと
- 朝:8時
- 昼:12時
- 夕:18時
- 眠前:22時
であり、1番苦しい夜の時間帯に回していた薬がなくなるんです。
夜10時~朝8時まで、10時間も!
夜に緊急用として薬を回していたわたしにとってはもう鬼規則ですね。
退院2日前に再度尋ねてくれた薬剤師さんにようやく再度「24時間時計」を書いて
- 何時に何を飲んでいるのか
- 緊急時にはどの時間なら何を飲むことにしているのか
- 分量はいつもどんな割り振りなのか
血中濃度を考えて服薬していると「改めて説明して」「ようやく」理解してもらえたときに、
と賛同して
と約束してくれたのですが、
それまでは、そして退院してから今までも担当医の処方がおかしく「担当医には伝わらなかったんだな…」と割と苦しみ続けています。
どうにも連携しないチーム医療
主治医や薬取り上げを決定した精神科医チームにも同じ時計を描いて説明したのですが、そちらはコピーも取らず「死にたいことある?」と聞いて帰りました。
それも薬剤師さんに伝えてみると、
と話していました。
わたしも同意見です。
来ないしカルテを残さない看護師
ケシンプタの副作用を事前に知らされていなかったし「たいてい安全」と言われてそれを鵜呑みにしていたわたしも悪いのですが、
- 2日目の副作用ではものっすごく肌が焼け爛れると感じるほど発熱したし
- 痙攣して硬直したし
- そのなかで必死にナースコールを3度したけれど1時間以上放置され
- 抗けいれん薬と体温を下げる漢方のオーバードーズで生きつないだものの
- やったら看護師さんに「昼夜逆転はよくない」と説教されながら
- 大量のアイスノンと、結局は効いていないと判明したカロナール服用とで比較的涼しい場所へ移動することで
必死に生き抜いた話はもう前回しました。
結論からいえば、入院3日目までナースコールを押して看護師さんが来ることはありませんでした。
そして4日目以降は「賭け」でした。
3日目の夜までナースコールで看護師が来なかった。
1番苦しいときにはオーバードーズしてでも自分でなんとかするしかなく、
そのせいで薬を取り上げられ、
ナースコールから1時間半後、ようやく左腕が動くようになってから車椅子を必死に、手すりを伝ってナースステーションまで出向いて用件を伝え、
朝の問診中に「確認してくる」と消えてそのまま半日来ず、体が動くタイミングでやはり出向いて「あ、忘れてた!」とか言われ謝罪もなく、ただ「迷子にならないようにね」とか言われ、
そんなことが相次ぎ、とりあえず「薬を取り上げられたのに必要なタイミングで看護師が来ないせいで死にかけるのは困る」と主治医と直接連絡を取ろうとしたら看護師長さんとの話し合いになったため、
4日目以降はナースコールから数時間後に来てくれる…こともあるようになりました。
それでもナースコールを押して来てくれるかは賭けで、
「伺います」と言われたから待っていたら「朝の薬ですよ」と別の看護師さんが来て
との対応が相次ぎました。
ナースコールで看護師がすぐに来てくれるというのは、今や幻想だと知りました。
「人手不足だから」
わかります。わかってます。
よく動ける看護師さんは、看護師長さんレベルを除きほとんどが外来かコロナ病棟へ回されました。
仲の良かった看護師さんも3人しか残っておらず、夜勤で担当には当たってくれませんでした。
わたしの「緊急性」を理解している人はおらず、放置され続けました。
薬があれば多少は耐えられます。
でも薬を取り上げてその対応をされたら、わたしは死にかけるんです。
「口も硬直して動かなくなることがある」「以前はその治療で入院している」「マシにはなったが後遺症で痙攣が酷くなると起こる」と伝えてもカルテに残してもらえず、
結果として緊急性は一切理解してもらえず、ずっと苦しみ続けました。
ナースコールで看護師が来ることへ、期待しなくなりました。
「それでも呼べ」との担当医の指示に従わなければならないことに、絶望しました。
来ないし話も聞かない担当医
担当医は1度、副作用が出たと聞いて3日目に来ましたが、
と言っただけで、
- こちらが話そうとしても「あーはいはい」と話をまったく聞いてくれず
- 何かあってからこちらが呼ばないと来ないし
- 呼んで翌日に来てくれても「急患で忙しいから」と言うので「手短に言います」と約束することから始め
- 話を始めると「それ誰々に話して」と割り振り
- そのくせカルテでも話でもまず病棟に来ないので共有はされず
その割には定時にしっかり帰っているので、
いやいや残業代も出ないし定時に帰ることは大切なのですが、元医療系としては
受け持った段階で急患、入院患者問わず「担当するいち患者」だろ
と思い続けた次第です。
薬全部、緊急時に飲む薬まで取り上げておいて、
と言われたから従順に守っても、看護師さんは来ないんです。
ついでにナースコールを押せる体調のときも限られるほどの副作用なので、1時間早く見越してナースコールすると「あ~緊急じゃないんだな」と思われたのか余計に看護師さんは来なくなるし。
誰も緊急用の薬を緊急時に渡してくれない。
処方がおかしいと説明しても、カルテばかり見て話を聞いてくれない。
担当医とはこんな話ばかり繰り返し、もういっそ主治医に確認取ってくれと思い続けました。
だからこそ何度も担当医ではなく「主治医」を呼び続けました。
ただ主治医は元々忙しいうえに病棟規則やらなんやらで看護師がなかなか連絡を取ってくれず、さらに話せなくなりました。
話は最後に薬剤師さんが聞いてくれただけ。
そして今、担当医から処方された薬はやっぱりおかしい。
だからやっぱりまだ、副作用に苦しみ続けています。
カルテに書かれる嘘
ケシンプタの副作用は日を追うごとに徐々に増えていき、シックスパッド何十枚貼ったらこんなに震えるんだと思えるほどの悪寒も発生しました。
そしてわたしは元々の振戦もあるし、痙攣もあります。
「悪寒」と書かれ続ける
ある日悪寒ではないけれど痙攣でもない、それこそ副作用の「筋骨格系」に挙げられている「全身の震え」が起こりました。
対処法がわからず看護師さんを呼びました。
ようやく来てくれた看護師には何度「悪寒はない」「寒くはない」と説明しても「布団をかぶれ」と言われ、諦めて布団をかぶりました。
痙攣が悪化するのですぐにぬぎました。
翌日、カルテには「悪寒で看護師を呼び布団をかぶるよう指導」などと書かれていました。
繰り返しますが、悪寒はありません。
カルテ、たまに書いたと思ったら嘘書くじゃん……と呆れた瞬間です。
持病の心臓発作を「動悸」と書かれ続ける
ついでにわたしは持病の心臓病もあります。
あまりに発作が酷いときには普段の内服薬に加え「あんまり使わないでね」と念のもたされている発作用のテープがあるのですが、それも薬を取り上げられたときから退院時まで「作用がかぶる」と没収。
と何度誰に説明しても無駄でした。
痙攣と悪寒による振戦と硬直と心臓発作が一気にきたとき、超絶頑張ってナースコールしました。
そのときは必死に左手で汚い字のメモを残すしかなく、それを読みとれた唯一の看護師さんが抗けいれん薬をとりあえず持ってきてくれました。
翌朝話せる状態にまで落ち着いたとき、
カルテには「動悸」と書かれました。
心臓の細胞配列が生まれつきおかしく脈拍がたまに平気で200を超える病気を持つ身としては、動悸と脈拍異常は違うんです。
副作用が影響したのか毎日何度も発作が起こっていたのですが、それでもずっと「持病の発作」や「心臓発作」、「脈拍異常」と書かれることはなく、
はっきり脈を数えて伝えたときですら「動悸」と書かれ続けました。
退院してからも発作が酷かったので返してもらったテープを貼りました。
昨日、退院してから4日目、ようやく発作はおさまってきました。
せめてテープを渡してくれれば、心臓発作では苦しまずに済んだかもしれない。
作用と処方のおかしい薬
処方がおかしいと言うともう延々と書き続けられるので2点にしぼります。
解熱してくれない解熱剤
解熱剤というとカロナール(アセトアミノフェン)かロキソニン(NSAIDs)くらいしかないのはわかっているのですが、
- カロナールは6日間飲み続けて効果がなく
- ロキソニンは2日間飲み続けて効果がなく
熱がひどければロキソニン静注となりましたが、基準を38℃に設定されたので
と2日間看護師さんづてに担当医に伝えてもらった結果、わたしがキツイと感じたら打ってもらえるようになったのですが、周知されずにひたすらロキソプロフェンを渡され続け。
現在も下がらない熱に対して効かないロキソニンを飲み続けています。
熱はやっぱりどうにも下がりません。
明日のケシンプタ3回目注射、これ以上悪化はやめてほしい限りです。
「吐き気止め」と渡される胃薬
ところで入院中に渡される吐き気止めって、吐き気止めじゃないんですよね。
横になれないほどのすさまじい吐き気で吐き気止めをお願いしたんですが、とりあえず1日飲んでみて効かず、
との会話を看護師さんとして、それでもマシになるかと一応2日間は飲み続け、無駄だと中止。
点滴留置してるんだし「ステロイド点滴のときに吐く」と言えばきちんと吐き気止めを点滴してくれるのに、
いくら担当医に言っても「吐き気止め」が出されることはなく、
退院時にも「吐き気止め」を処方されることはなく、退院から昨日まで固形物どころか水分ですら吐き気、何もしなくても吐き気、ろくに横にもなれず休むに休めない状況が続きました。
結局変わらない抗けいれん薬と筋弛緩剤
ただ1番困ったのは「抗けいれん薬と筋弛緩剤」です。
発熱しているので痙攣は強まっていて、病院では「5錠までジアゼパム、2錠までホリゾンを渡す」と最終は決定していたのですが、処方は副作用が出る以前と同じです。
ロキソニンが加わったくらいですね。
ただロキソニンが効かないと何度も訴えていたので、
今は「この会話ってなんだったのだろう?」と果てしなく意味を疑いながらひたすらとりあえずロキソニンを飲み続けているし、それよりも冷えピタとアイスノンに頼り続けています。
コロナ病棟では
入院患者がとりあえずは見るコロナ病棟。
そこでは、数年前から親交?のある看護助手さんいわく
コロナ病棟にたくさん人が割かれるので助手さんも減って大変になっていますが、
コロナ病棟にたくさん人が割かれるので必要なときに誰も来てくれずに死にかけた人間もいるし、
その死にかけの姿を見られずに毎日生き残ってしまったがゆえに、どんどん対応が雑になってどんどん「死にかけ度」の増していった人間もいるんですよね。
「お前の入院した病院が悪かっただけだ!」
そう言われればそうかもしれませんが、コロナ病棟ができるまでそんなことはなかったんですよ。
毎回ナースコールですぐに処置室で酸素マスクしてくれて、夜に医師が誰か常駐しているから筋弛緩剤打つ判断もできて、それができる看護師もいて。
でも今は夜に医師は常駐してないから昼間の医師の指示に従うしかないし、
夜の看護師も少ないから平気でナースコールは忘れられる。
急変したら、たぶんわたしがオーバードーズで耐えたあの日、わたしでなければ死んでます。
断言できます。
同病さんには「ケシンプタは安全といわれるけれどこうしてもみ消された副作用の重症・重篤例がある」と知ってほしいし、
コロナ中軽度でも入院させろと主張する人には「入院しても決して助かるわけじゃない」と伝えたい。
命の選別について改めて書く、それ以前に、
- 命の優先順位はもうつけられている
- 医療関係者によるトリアージが行われている
トリアージって最低限度を診るだけで、じっくりは診ません。
何度か見直しトリアージ段階の変更はありますが、じっくり患者を診て治療するわけではありません。
ただ優先順位を決めているだけです。
入院によって苦しめられたわたしの体験で、同病さんへの注意喚起とともに
- 単に入院するだけではどうにもならない現実がある
- 悪化する現実だってある
これらをより多くの人に知ってもらえればと願います。