パーソナリティ
パーソナリティ:個人の内部で、環境へのその人特有な適応を決定するような、精神物理学的体系の力動的機構
byオールポート(アメリカ)
の意味で使われやすいが、パーソナリティは性格をつくりだす心理学的・社会的機構を含めることが多い。
パーソナリティの形成
パーソナリティの変化性
パーソナリティを形成するものは、ピラミッド構造的に4段階ある。
上から
- 社会的役割:親、上司、妻などの自分の役割。日常場面に応じて意識的・無意識的に変化していく。最も変えやすく、変わりやすい。
- 習慣(習慣的性格・性格):行動や思考の傾向、癖など、自分の意思で変えられる部分。友人関係や学校生活などの中で作られる。
- 気性:幼年期に家族との触れ合いの中から作られる部分。出生順序と養育者の影響が大きい。また現実とずれると社会不適応を起こしやすくなる部分でもある。ほぼ変えることができないと考えられている。
- 気質:遺伝的、体質的に決められていると思われる部分。ほぼ変えることができないと考えられている。
上にいくほど環境に依存するため環境の変化によって変えやすく、下になるほど人格の基礎、土台であり、先天的・遺伝的な面も強いため変わりにくい。
パーソナリティの形成要因
またパーソナリティは
- 遺伝的要因:血縁、遺伝子による先天的要因
- 環境的要因:家庭や家族構成、産まれた順番、友人関係、学校生活、親の育児法や態度、国の風土や気候、社会的、時代的要因など
- 個体的要因:自分の容姿や体験など
によって形成される。
パーソナリティ分類
たくさんあるパーソナリティ分類をまとめる。
類型論
その人と接しているうちに感じる雰囲気などで、その人の当てはまる性格や行動パターンをグループに分類するもの。
クレッチマーの体型説
分裂病、躁うつ病、てんかんの患者の共通点から性格を分類したもの。
気質的特徴 | 体型的特徴 | 性格的特徴 |
分裂気質 | 細長型 | 非社交的、静か、内気、臆病、生真面目、変わり者、無関心、鈍感 |
躁うつ気質(循環気質) | 肥満型 | 社交的、陽気、活発、善良、親切、温かみがある |
粘着気質(てんかん質) | 闘士型(筋肉質) | 熱中しやすい、几帳面、凝り性、こだわりがある、秩序を好む |
ユングのタイプ論
外向性:外からの刺激に影響を受けやすい。外の世界に関心がある。社交的。
内向性:興味関心が自分自身に。自己の内面に価値を認めている。非社交的。
またそれぞれに「思考型」「感情型」「直感型」「感覚型」の4分類がある。
こころの基本的機能での分類
思考型:理論的に考えることを得意とする
感情型:物事を感情で判断する
直感型:思いつき、ひらめきを重視する
感覚型:感覚で物事を判断する
特性論
グループへの分類ではなくひとりひとりの特性を多面的に考えるもの。
さまざまな場面で、それぞれの特性を、どの程度、発揮するかによってパーソナリティの説明を試みた。
キャッテルの特性論
表面特性に区分したのち、根源特性に区分。
根源特性をどの程度もっているかによって各人のパーソナリティ把握を試みる。
- 表面特性:質問や行動観察で外から直接観察できる35個の特性
- 根源特性:表面特性の背後にある12個の特性
病前性格
病気になりやすい病前の性格として以下のものが挙げられる。
うつ病になりやすいと考えられているもの
- 執着性格:仕事熱心、凝り性、徹底的、几帳面、生真面目、責任感が強い、など。
- メランコリー型性格:執着性格に類似するが、中でも秩序にこだわり、他人に献身的で過度に良心的。些細な失敗で強い罪悪感を抱くなど。
心臓病にかかりやすいと考えられているもの
タイプA性格:野心家で早口。しばしば他人の話を遮る。敵意を燃やすことや怒ることが異常に多い。
補足
上記の分類はパーソナリティを理解するための助けにはなるが、完全な方法ではない。
測定法として下記のようなものもあるが、どれも完全とはいえない。
検査法について詳しくは→https://harukams-medicalbeauty.com/csc11/
知能検査
- ウェクスラー式知能検査(WAIS)
- 田中・ビネー式知能検査
人格・性格検査
- 質問用紙法:エゴグラム、ミネソタ多面人格目録(MMPI)、谷田部ギルフォード性格検査(Y-Gテスト)
- 投影法:ロールシャッハテスト、主題統覚検査(TAT)
- 作業法:内田クレベリン精神作業検査
参考本