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難消化性デキストリンについて

栄養
この記事は約7分で読めます。

はじめに

今流行の「難消化性デキストリン」というものがありますが、食物繊維に関係するので少し触れておきたいと思います。

 

デキストリンとは

まずデキストリンとは、デンプンを分解する途中で生じる多糖類です。

 

デンプンやデキストリンをよく理解していただくには、単糖類から知っていただくのが1番かと思いますので、はじめにデンプンを構成する2種類の単糖をご紹介させていただきます。

 

 

単糖類

αグルコース

グルコースは別名ブドウ糖として、脳の唯一の栄養素となることは広く知られていることだと思います。

中でもαグルコースは下の構造式で赤色のところの、ヒドロキシ基(-OH)の向きにご注目ください。

「上へ伸びている炭素の塊」と立体として同じ向きにあるか逆の向きにあるかでαかβかを区別します。





βグルコース

以下の構造式で表されます。ヒドロキシ基がαグルコースと逆についているものです。

写真:https://sci-pursuit.com/chem/organic/glucose_structure.html#2より

 

エステル結合とエーテル結合

多糖はこれらの単糖がエステル結合やエーテル結合(糖の場合はグリコシド結合と呼びますが)という2種類の結合をたくさん形成してできるものです。

 

エステル結合

エステル結合カルボキシ基(-COOH)とヒドロキシ基(-OH)の間の結合で、

-COOH+-OH → -OCO-(エステル結合) +H2O(水)

 

エーテル結合(グリコシド結合)

エーテル結合ヒドロキシ基同士の間の結合で、

-OH+-OH→-OCO-(エステル結合)+H2O(水)

という反応をして生じるもので、同時に水も発生します。

単糖と単糖の間のエーテル結合を特別にグリコシド結合と呼びます。

 

この逆の反応が「加水分解」で、酵素が起こす反応はこの加水分解です。水が加わって、酵素がうまく働くことで、多糖を単糖へと分解します。

 

ちなみに酵素は、こうした化学反応を媒介するたんぱく質で、人体の中にあるものを指します(^^)
 
今回の場合は、酵素は糖の鎖(結合)を切るハサミのようなものと考えてください(^ー^)

 

デンプンとデキストリン

デンプンやデキストリンはこうしてグルコースがエステル結合、グリコシド結合してできたものであり、特に数えきれないくらいの(何百万レベルの)グルコースが結合したものがデンプン

デンプンを分解する途中で生まれる単糖の繋がり(でもデンプンほどじゃないもの)をデキストリンと呼びます。

 

大きさ順に並べると

デンプン→デキストリン→グルコース

となります。

 

ちなみに、グルコースが2つ繋がったものがマルトース(麦芽糖)です。

マルトース構造式はこちら↓

なのでマルトースも含めると、

デンプンデキストリン→マルトース→グルコース

となります。

 

デンプンの分解過程

なぜデンプンから一気にグルコースまで分解しないの?というと、酵素の関係です。

アミラーゼという酵素デンプンを分解することで有名ですが、実はすべての結合を切れるわけではなく、切れたり切れなかったりします。

 

酵素をハサミだと考えると、

デンプンという長い長い鎖があったときに、ハサミがいくつあっても鎖を短時間では切りきれないのです(^^;

そして、

ハサミ自身にも種類があり、

端から2個ずつ切っていく几帳面なハサミと、

ざっくりてきとーなところで切っていくハサミがあります。

 

 

このハサミの特性により、

デンプン→マルトース→グルコース

と分解されるものと、

デンプン→デキストリン→グルコース

と分解されるものがあります。

デンプン→デキストリン→マルトース→グルコースデンプン→グルコースと分解されるものも一定数ありますf(^^;
てきとーなハサミはてきとーなところで切るので、どこで切るかは気まぐれです( ̄▽ ̄;)

 

ハサミであるアミラーゼが主に分泌されるのは、口の中と、(膵臓でつくられて)十二指腸です。

胃では酸が強すぎて酵素が活動できないので、この口の中と十二指腸の2ヶ所でアミラーゼを浴びたデンプンが分解され、腸で吸収される仕組みです。
ちなみに几帳面なハサミで切られてマルトースになったデンプンは、マルターゼという別の酵素で分解されます。

 

難消化性デキストリンについて

以上から、デキストリンについてはデンプンが吸収される途中でできるものだと、なんとなくわかっていただけたかと思います

この説明で大丈夫かな(^^;

 

ここで疑問なのが、なぜ「難消化性」なんてものが存在するのか、ではないでしょうか。

消化するための途中でできるのがデキストリンのはずなのに、吸収されないものがあるのはなぜか。

 

ということで論文読み漁ったところ…

 

デキストリンの難消化性の調査

デキストリンについて、消化のしやすさについて研究した論文があります。ざっくりまとめさせていただきますと、

デンプンは加熱(炊飯器レベルは軽く超えます)すると変性する。酸を加えて加熱しても変性する。なのでデキストリンもそういった処理をすると特性が変わらないか調べてみた。

とのことで、その結論が、

デキストリンを焙煎したりその他色々な実験をしてみると、特性の異なる3種類が得られた。その内ひとつはかなり消化されにくく、条件を変えたり、消化されにくい部分だけを集めることによって最大90%消化されずに便として排泄されるデキストリンを作れた。

とのことでした。

この3種類は、粘性や色から判断がつき、消化されにくいものは粘り気がほとんどなく白色です。

 

ということから、とうもろこしや馬鈴薯などのデンプンを少し加水分解(酵素がする働きを人為的にする)してデキストリンを作り、それに加熱などの処理をした上で、粘性のほとんどない白い部分を集めたら、難消化性デキストリンの(粉の)塊が完成、というわけですね。

 

整理すると、

「なぜ消化されにくいの?」

という問いに対しては、

「調べてみたら偶然消化されにくいものを作り出せたから、その部分だけ集めてみたからだよ」

となります。

 

難消化性デキストリンの効能

難消化性デキストリンなんてものをどうしてわざわざデンプンの中から作り出したかというと、一般的に食物繊維と呼ばれているセルロースの摂取だけでは、必要な分の食物繊維の摂取が難しいとされたためです。

 

セルロースはαグルコースが直列にグリコシド結合を繰り返してできた多糖です。人間の体内にはセルロースを分解する酵素が存在しないので、セルロースが吸収されることはありません。
植物の細胞の「細胞壁」という部分を構成するものなので、野菜などには必ず含まれています。
 
 
たしかにゴボウをたくさん食べる生活を毎日する!などは難しいですよね(^o^;)

 

なので、この難消化性デキストリンを色々な食材や飲み物に混ぜてしまえば、多少甘味もあるので砂糖みたいになるし、食物繊維が摂れるし…と重宝されてきています。

吸収されない→食物繊維です(^^)

 

ちなみにこの色んな処理を経て作られている難消化性デキストリンですが、アメリカでは摂取上限を定める必要がないほど安全と言われています。

 

また食物繊維最大のデメリットである「摂りすぎるとミネラル吸収を阻害する」というものですが、難消化性デキストリンは阻害しないことがわかっています。

 

安心安全でデメリットなし、麦茶やコーヒーに粉末を入れて飲むだけでも食後血糖値の急上昇を抑える効果があるって、すごくないですか⁉

わたしは論文読んでビビりましたf(^_^;

 

他にも効果をまとめると、

  • 糖の吸収速度を抑える
  • 脂肪の吸収速度を遅くする
  • 整腸作用がある
  • 内臓脂肪を低減させる

となります。

食物繊維が大切かもしれないMSに、またMS以外でも胃腸の調子でお悩みの方に、一度お試ししてみてはいかがでしょうか。

 

ただし注意点としては、全く吸収されないわけではないということです。少しだけとは言えど、吸収された分はカロリーになりますし、「糖質」として吸収されます。糖質オフとは別物です。ご注意ください。
あくまでも野菜で摂りきれない食物繊維を補うものとしてご活用くださいませ(*^^)v

 

 

参考になれば幸いに存じます。

 

参考:中学高校理科化学教科書及びhttps://fromhimuka.com/chemistry/583.html

https://scholar.google.co.jp/scholar?q=難消化性デキストリン&hl=ja&as_sdt=0&as_vis=1&oi=scholart#d=gs_qabs&u=%23p%3DmkDg2eeso8MJ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jag1972/37/2/37_2_107/_article/-char/ja/

 

 

 

 

 

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