姿勢観察
姿勢観察についてのポイントを簡潔にまとめる。
PTだと足から評価しがちだが、必ず頭から診ること!
静的姿勢の観察
頭部の観察
- 頭部背屈
- 頚部伸筋が過緊張しているのか、弛緩しているのか
正常児でも時々見られるが、残存する場合は錐体外路疾患、脳幹症状の除脳状態で見られる
- 頭部回旋
- 脳性麻痺をはじめとするジストニア、アテトーゼなど錐体外路疾患に見られ、後屈回旋位を取る
この回旋により胸椎側彎が生じることがある!
上肢帯の観察
上肢の観察は肩甲骨、肩、肘、前腕、手関節の状態を観察する。また緊張性なのか弛緩性なのかについても注意を払う。
- 上肢の肩外転、肘屈曲:
- 屈筋群、外旋筋の緊張が高いのか
- 肩甲骨の動きが少ないのか
手掌の観察
- スワンネック様変形:
- 3から5指のスワンネック、1、2指の伸展
- 母指の内転拘縮
一見末梢神経障害を思わせるが、中枢の一次ニューロンによる強直性麻痺や除皮質固縮で見られる
- 2、5指のover lap:
- 18トリソミー症候群でよく見られるが、正常時でも見られることもある。
伸展障害が見られることもある
真っ先に遺伝性疾患を疑う
下肢の観察
- 下肢の伸展突張
- 下肢伸筋の過緊張か
- 下肢の交叉
- 痙直型麻痺に見られる。中心白質変性が強い。
立たせれば解消することも多い
- Frog Leg Position(カエル足みたいな)
- 低緊張児や二分脊椎の子に多い
一次ニューロン障害、高位脊髄損傷例でも見られる
- 下肢の抗重力活動の低下
- 筋緊張の低下により、抗重力的に持ち上げられない。進むと内転内旋筋の拘縮となる。
ウェルドニッヒホフマン病など
足部の観察
足部の観察は後足部と前足部に対して行う。
同じ尖足でも、内反外反がある
座位の観察
- 痙直型脳性麻痺児では股関節外転制限があり、横座りを好む
横座り:おねえさん座り
- アテトーゼ型脳性麻痺児では緊張の保持が難しく、複雑な(足を交叉・絡ませたりする)姿勢となる
立位の観察
下肢の支持機能を見る上で重心がどこにあるか知る必要がある。
下肢の尖足や外反、膝の屈曲に留意する必要がある。
アテトーゼ児は膝伸展位でロックして保持する傾向が強い
理学療法の限界
GMFCSレベルのプラトーは7歳までに生じ、運動機能の90%の成績に達するのは5歳である
→早期介入しないと、理学療法の意味がなくなる
理学療法の可能性
10歳のときに歩行が不安定な場合:
車椅子を使用しない場合→歩行機能改善(33%)
車椅子を使用する場合→歩行機能を失う(34%)
「活動」における2つの視点:ICF分類におけるSubcategory
能力(Capacity)
ある課題や行為を遂行する個人の能力
例)10m歩行テストなどの統一された環境での個人が発揮しうる最大能力
Impairmentによる障害(↑)
例)座位保持←姿勢制御能
筋緊張
↓
神経機能の変化が要求される
(姿勢制御機構の再構築)
実行状況(Performance)
個人が現在の環境で行っている能力
例)日常生活での歩行能力やADL能力
Environmentによる影響(↑)
例)座位時間の拡大←座位保持装置
介助者の労力
↓
運動能力の変化が要求される
(筋力増強、持久力の改善)
監視しないと歩行などの練習が危ない子に対して、どうホームプログラムを組むかも問題となる。