新生児期の反射
新生児期の反射には3種類ある。
- 原始反射(primitive reflex):新生児固有の反射で成長とともに消失する。
- 姿勢反射(postural reflex):重力に抗して姿勢を調節する反射。多くは生後の発達に伴って生じる。
- 移動反射(locomotor reflex):移動運動の原始的なパターンが生後早期から誘発できる反射。
運動発達と反射は中枢神経の成熟からも見ることができる
原始反射
低位の中枢により形成される典型的な運動。上位の運動中枢の発達とともに消失する。
脊髄レベルの反射
- 把握反射:指の付け根を圧迫すると把握するように指(趾)屈曲。(手足)
手支持、足支持が始まると消失
- 交叉伸展反射:一方の下肢を深く屈曲、圧迫すると他方の下肢が伸展
1〜2ヶ月で消失
一方の足を伸展させて侵害刺激を加えると他側も伸展、という方法もある
- 陽性支持反射:腋窩で支持して足先を床につけると下肢を伸展する
1~2か月で消失
臥位で足先に触れると足が伸展してくるmagnet reactionも陽性支持反応の1種と考えられている
- ガラント反射:肩甲骨下角から腸骨稜までなぞると脊柱の彎曲が見られる
4か月で消失
探索反射(口の近くのものを口で探す)、吸啜反射(口に入ったら吸う)も含まれる。
バビンスキー反射、自動歩行(腋窩支持で体重を片側に寄せると対側の下肢が屈曲し歩行のような運動を始める)も含まれることがある。
脊髄橋レベルの反射
- モロー反射:上部頸椎、頚筋の急激な変化により、上肢を伸展、外転する
簡単に言うと、首を急に動かす万歳するみたいな
- 誘発法:①枕元で大きな音をさせる。②背臥位で後頭部を持ち上げ、手の上で15cmぐらい落とす。③新生児の頭と身体を支えて空中に抱き、手に乗せた頭を15cmぐらい落とす。
中枢は脳幹と言われる
- 緊張性頚反射:
- 非対称性:背臥位の児の顔を他動的に一方へ回すと顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する
- 対象性:腹臥位水平抱きで乳児の頚を前屈すると上肢が屈曲し、背屈すると上肢が伸展する
どちらも1~2か月ごろ顕著。4~6か月で消失。
橋を中心とする脳幹部の中枢をもつ
- 緊張性迷路反射
姿勢反射
重力の働きに抗して起こる反射。高位の中枢を持つものほどその出現は遅い。
中枢レベルの反射
- 頚の立ち直り反射、体の立ち直り反射
- 頚:背臥位の児の頭を他動的に一方へ回すと肩、体幹、腰部がその方向に回転する。新生児から見られるが、5~6か月で分節的な回旋が生じる。
- 体:側臥位で非対称に受けた皮膚刺激により、頭の方向が立ち直る。また、体が正常な位置に立ち直る反射も言う。6か月頃から見られる。
- 迷路性立ち直り反射:目隠しした乳児の体を前後左右に動かしたときに、頭が垂直方向に立ち直る。臥位で3~5か月、座位、立位では6~7か月で出現。
- 視性立ち直り反射:開眼の乳児の体を前後左右に動かしたとき頭部が垂直に立ち直る。臥位で3か月前後、座、立位で5~6か月で出現。
- パラシュート反応:直立位で抱き、前方に傾けると上肢を伸展する。8~9か月頃、つかまり立ち、伝い歩きが見られる頃に出現。
- ランドー反射:小児の腹部を掌で支えて水平抱きにすると
- 一相(0~6週):頭部、体幹、四肢が軽度屈曲
- 二相(3、4か月まで):頭は水平になるが、体幹、四肢は屈曲位
- 三相(6か月までに達成):頭部は伸展挙上で体幹も胸椎移行部まで伸展、下肢は軽く外転
大脳皮質レベルの反射
- 傾斜反応:一方に傾斜させると、上がったほうの上肢が伸展外転、下がったほうの上肢が保護伸展する。
臥位:腹臥位で寝ている板を一方に傾斜、座位:座位の児を一方に傾斜
臥位:6か月頃お座りができるようになる頃、座位:8か月頃つかまり立ちや伝い歩きができるようになる頃出現
- 定位反応、四つ這い反応
- 飛び跳ね反応(ホッピング反応):立位にした児を前後、左右に倒すと、
- 左右→下肢を交叉して体重を支える
- 前後→倒された側に一歩出て体重を移動
つかまり立ち伝い歩きができるようになる頃出現、1歳6か月までに前後左右ともに完成
他
- 引き起こし反射:顔を正面に向けた背臥位の児の両手を親指を手掌に入れて握り、約3秒かけてゆっくりと引き起こすと、
- 新生児:下肢屈曲で頸部背屈→引き起こされる→前屈
- 生後3か月:半分引き起こされる→頸部と体幹の平行が明確に
- 5~6か月:引き起こされ始め→既に頸部と体幹が平行に