背臥位での運動発達
背臥位での運動発達には、頭部の安定性(定頸)、リーチング動作、下半身の連携機能の発達が重要となる。
頸部の安定性の発達
- 新生児期:頸部は軽度後屈、一方に側屈回旋していることが多い(頸部のコントロールが未熟)
- 1か月:頸部の運動性が増加するが、頸部回旋時に顎の挙上も見られる。
- 3ヵ月:頸部を正中線上に保持、顎を引いた状態を保持することが可能になる。
リーチング動作の発達(上肢について)
- 新生児期:肩関節外旋、肘屈曲、前腕回内位にあることが多い。重力に抗して肩を持ち上げられないが、「ランダム運動」として知られる肩関節の全体的な運動は見られる。
- 1~2か月:上肢は可動範囲を増やすが把握反射の影響が強く、手にしたものに注意を払わないことが多い。
↓腹臥位での上肢帯の発達と目と手の協調運動の発達
- 4か月:不正確だがリーチを活発に行う。
- 5か月:肩甲骨の外転を伴う広い範囲のリーチが可能になる。
下肢ー骨盤―体幹部発達
- 新生児期:股関節屈曲外転外旋、膝関節屈曲位からのキッキング運動:股関節外転外旋はほぼ一定のリズミカルな運動→膝伸展を伴う股関節外転外旋→内転内旋方向へ。下肢の抗重力的な運動の増加。
キッキング運動:股関節外転外旋はほぼ一定のリズミカルな運動
- 4か月頃:体幹部まで一体→骨盤の前後傾が可能に
骨盤の後傾が増すと手ー足を使った遊びが可能になる
脳性麻痺児の背臥位
脳性麻痺児の背臥位には、その子の機能により様々な型がある。
- 頭部背屈:難産、仮死であった新生児に伴う場合あり。多くの児では一過性でその後消失するが、CPに進行するものもある。
引き起こしでも反り返ってしまう場合注意が必要
- 後弓反張:伸筋の緊張が高く、運動が「脊柱の反り返ったような」姿勢をとる場合、脳性麻痺児に移行するリスクが高い。反り返りに至る強い緊張が持続する場合は頭部の回旋を妨げ、正中位の獲得を遅延させる。
- 痙直性両麻痺:リーチ獲得において頸部の回旋が伴わない場合、一側性のリーチとなり、両手動作の発達を妨げる。
- 痙直性片麻痺:片側の優位性により、麻痺肢に対する注意を払わない。
- 弛緩性(フロッピーインファント):抗重力の運動が上下肢ともにできない。
両下肢ともに外転外旋位の特徴的な姿勢に
ATNR姿勢:頸部が向いている方の肢が伸展。様々な姿勢があり、日常的にこの姿勢をとるか否かにより緊張は異なる。
抗重力姿勢の評価はその後に機能発達に直結するので、腹臥位、背臥位ともに重要である。
背臥位では上下肢、肩甲骨、骨盤がどれだけ挙上するかが大きな目安