腹臥位の運動発達
腹臥位の運動発達には、頭を持ち上げる機能とリーチング動作、下半身の連携機能が発達しているかが鍵となる。
頭部挙上の発達
- 新生児期:体重心が上方にあり、頭部を床に押し付けた状態。自発的な頸部の回旋は難しい。
上肢は手根支持で肘屈曲、肩伸展位
重心は胸部帯にあり、効果的な頭部の回旋は得られない
- 2か月:手根支持中心
↓徐々に肘支持に発達
- 4か月:肘支持が完成すると肩関節はより屈曲位、肩甲骨を前方へ出すことが可能になり、長時間頭部挙上保持が可能になる。
重心が後方移動できるようになるため
リーチング動作の発達(上肢)
- 2か月:手根支持のため難しい
- 4か月:頭部の回旋に伴った重心の側方移動を経験。
↓片支持が十分片側に移動できるようになる
「片肘支持」(上肢を前方に出して肩と肘に重心を乗せる姿勢)が可能に
リーチを目的とした片肘支持:リーチ動作のフィードフォワード制御が起こっていることを意味する
片肘支持ができないと寝返りができない。
- 5、6ヵ月:ピポットプローンと呼ばれる姿勢が発達し、この姿勢から両手でのリーチ動作を行うことも多い。
下肢ー骨盤―体幹部発達
ピポットプローンや手支持の発達
重心を胸腰部からさらに下方へ移動できるようになる
↓下肢骨盤への体重負荷
四つ這い位へ移行する前段階となる
ピボットプローン
接地面積が少ない
↓
腹這い位での回旋を可能にする
↓
支持点の移行やそれを可能にする運動が生じる
脳性麻痺児の腹臥位
脳性麻痺児の腹臥位は筋の緊張度によって様々な型がある。
- Floppy Infant:低緊張では頭部を持ち上げる腹臥位を取ることができず、抗重力的運動も生じないため、頭部回旋も困難となる。
- 後弓反張:伸筋の緊張が高く、腹臥位になっても頭頚部の回旋が見られない。頭部を持ち上げるためのピポット姿勢にもなれない。
トビウオのマネみたいな姿勢
- アテトーゼ型:腹臥位の方が安定的なのが特徴。3ヵ月時は肘が前方にあり比較的安定しているが、1歳4か月になっても腹臥位の姿勢自体は変化が見られず、下肢体幹の支持は得られない。
抗重力姿勢の評価はその後に機能発達に直結するので、腹臥位、背臥位ともに重要である。
腹臥位では脊椎の伸展が可能かどうかが大きな目安