はじめに
これから実習、現場に出る仲間たちへ
いずれ実習生となるわたしが患者として受けた扱いから、注意しておくべきポイントを、そして患者はどこを見ているのかを記します。
実習生との接触の具体例
Case.1 ある医学科実習生との会話
ある日、わたしの担当医の先生が2人の学生を連れてきて、
「この子たち実習生だから、話を聞かせてもらうこともあると思うんですけど、いいですか?」
はいと答えました。なかなか希少な疾患ですし、自分の身で勉強となるなら、断る理由なんてありませんから。
そして、別のある日、その実習生が病室まで訪ねてきました。
「今いい?」と聞かれたのですが、ちょうど友人の助けを得て、授業をLINE電話の遠隔で受けている最中だったので、断りました。
そして実習生が出直して来たのは、ちょうどお昼ご飯時。
大体の先生は食事中なら出直しますとか、食事中にごめんね、とか言ってくれるのですが、その実習生は、
「今いい?」
と普通に入ってきました。
別に食事の中断とか気にするタイプではないのでいいんですけれど。
普通に「はい」と答えて、
と他の先生にも勧める通りに言うと
そこで挨拶が、
ないです。
その後、
何回か叩く。
叩く位置違うからな。
そして最後に、わたしの担当医の話になり、どう思うかと聞かれ、
わたしの担当医は3人。そのうち一人は研修医2年目です。
それはさておき、あんたまだその研修医にもなってない実習生だろ。
Case.2 気の抜けた実習生の話
わたしが入院していた病院では、週に1回教授回診というものがあり、教授が科内の入院患者全員を、医者と実習生全員を連れて診て回る、という白い巨塔みたいなものがありました。
そのときに、向かいの患者さんの回診のときに必ずわたしのベッドにもたれてくる人がいたんですね。背の高い、男の実習生でした。
カーテン越しだから、向こうにしたら無意識に壁にもたれる感覚なのでしょうが、半身麻痺で常にベッドにいるわたしにとっては、それでベッドが揺れるのが不快なんですよね。
さすがに何回も我慢したんですけど、度重なると嫌になってしまって。
なので仲良くなった看護師さんにその話をしたら、
と言われたので、左手にプラスチックフォークを持ち、その看護師さんにカーテンの向こう側に立ってもらい、背中をつつけるか確認してもらいました笑。
結局、フォークの出番はありませんでした笑。
朝の問診がリハビリで遅れ、前の患者さんの教授回診と被った時に、案の定もたれてきたので、
と言うと、彼はすっともたれるのを止めました。
Case.3 ある理学療法実習生との話
いつも通りリハビリ(手すりを掴んで腰を担当PTさんに支えてもらっての立つ練習)をしていたときのことです。
ある実習生が見学をお願いしてきて、担当PTさんは気を遣って断ろうとしてくれたのですが、わたしは「いいですよ」と答えました。
それを機に、実習生の友人(?)、お話できる人が増えました。すると、顔を合わせる度にひと言ふた言交わし、会釈などの挨拶もするようになりました。
これのどこが問題かと言うと、挨拶するタイミングですね。以下で述べていきます。
患者の視点
まず患者の視点ですが、基本的に患者は「自分の病気、体から学ばせてあげる」という”許可”を”してあげている”ので、
実習生が”診てあげている”と考えるのは間違いです。
あと、患者は意外に実習生の「姿勢」を見ています。喋ってばかり、どこかにもたれる、などはやる気ないんだな~と悪印象です。
さらに、「担当の先生」は、他の患者さんへの「自分に用かな?」という誤解を避けるため、複数の患者さんがいる場では「担当の患者」としか原則目を合わせません。
フリーのときなら大丈夫です。
ただ、誰かに付いているときに他の人に挨拶するのは大問題です。
自分が実習生ではなく、実際に患者さんを診る立場になったときを考えてください。
医療は命に関わる現場。
貴方の態度は患者さんの命に関わり、患者さんからの信用は、貴方の医療者生命に関わる。…そういうことです。
注意事項
以下では実習生として守った方が良い(とわたしが患者視点で思う)ことについて、個条書きで述べます。
- 言葉遣いに気をつけましょう。親しき中にも礼儀ありです。親しくないなら尚のこと。
- 患者さんの都合を考えましょう。入院していてもお風呂洗濯検査リハビリ…忙しいですし、体のどこかが悪いから入院しています。レポートなど忙しいかもしれませんが、自分の都合を押しつけるのはやめましょう。
- 患者さんの担当の先生を少しでも貶すような発言はやめましょう。患者の軽口は先生を信頼した上でのことがほとんどです。便乗したところで貴方の信頼には繋がりません。
- 姿勢を正しましょう。気を抜く、もたれるはNGです。
- よそ見はやめましょう。
あと1点。
- 担当の先生には絶対従いましょう。
担当の先生は患者さんのことを考えた上で、実習生に指示を出します。
自分の学習の為、など意欲があるのは素晴らしいですが、待機と言われれば待機、見学と言われれば見学です。
実は、Case.3の見学を許した日、担当PTさんが病室までやってきて、
本当に見学して良かったのか
嫌な気持ちにはならなかったか
今後同じようなことがあったときはどうすれば良いか
わざわざ聞きに来てくれました。
Case.1の後、「あの実習生に会いたくないから教授回診は嫌だ」と言うと、教授回診はその病院の義務なので避けられないですが、
「年頃だし見られるの嫌だよね」
とにっこり笑いながら、担当医の先生は実習生の見学はカーテンを閉めて禁止にしてくれました。
担当の先生はそういう細かいケアを、実習生の見ていないところでしてくれています。実習生の関わるところは、患者さんにとってはごく一部であることを忘れないでください。
以上、見学実習を終えて、実習に行く前に患者になったわたしから、実習生への「守っていたら好印象だろうな」と思うポイントでした。
最後に、これから実習へ向かう仲間たちにエールを贈って、終わらせていただきます。
参考になれば幸いです。