バイタルサイン
バイタルサインvital signs:人間の生命維持の兆候を示すもの。一般的には脈拍、呼吸、体温、血圧、意識レベルを言う。
脈拍
脈拍とは心臓の収縮によって血液が末梢血管へ送り出されることによる血管の拡大と収縮によって生じるものであり、心拍動を末梢動脈壁を介して触知するものである。
- 正常値:成人60-80回/分
- 脈拍の観察事項
- 脈拍数:頻脈100回/分以上、徐脈50回/分以下
- 脈拍の大きさ:大脈、小脈
- 脈拍の緊張度合い:硬脈、軟脈
- 硬脈だと動脈硬化や高血圧、軟脈だと低血圧
- 脈拍のリズム:整脈、不整脈
- 脈の測定法
橈骨動脈を示指と中指で触れる
(15秒×4で測定)
- 脈拍に影響を及ぼす因子
- 運動
- 食事
- 痛み
- 精神的緊張
- 体位
特に臥位(65~)<座位<立位(75~80)と臥位で低く立位で高い
起立で低血圧となり、脈を上げて対応するため
呼吸
呼吸
- 正常値:成人16-20回/分
- 呼吸の観察事項
- 呼吸数:頻呼吸は25以上、徐呼吸は9以下
- 波でいう波長
- 呼吸の深さ:過呼吸、低呼吸
- 波でいう振幅
- 呼吸のリズム
- その他:呼吸に伴う胸郭の動きの対称性、胸壁と腹壁の動きのずれ、全体的な動きの滑らかさ、呼吸補助筋の使い方やその割合など
血圧
血圧とは血管の中を血液が流れるとき、血管壁を押し広げる圧力のことで、血管の内圧を意味する。
- 収縮期血圧:心臓が収縮して血液が送り出されているときの最も高い血液
- 拡張期血圧:心臓に血液が戻ってきているときの最も低い血圧
血圧=心拍出量×血管抵抗
(心拍出量→最大、血管抵抗→最小)
- 高血圧:
最高が140または最低が90mmHg以上(@診察室)
最高が135または最低が85mmHg以上(@家庭)
- 正常:至適血圧は最高血圧<120かつ最低血圧<80mmHg
- 血圧に影響を及ぼす因子
- 運動:心拍出量が上がる
- 食事、入浴
- 気温:暖かいと上がる、寒いと下がる
- 情動:精神的緊張など。白衣高血圧なども。
- 年齢:加齢で上がる
- 体位:体位(低血圧)→心拍出量上がる→最大値が上がる
- 測定法
測定部位:右上腕動脈
測定肢位:座位、上腕は心臓と水平
触診法と聴診法がある。
一般的に、聴診法による血圧は、触診法よりもやや高く測定されやすいといわれる。
また、触診法では最小血圧値が測定できない。
ただし触診法が臨床の主流である。
触診法
- マンシェットの下縁が肘窩の上方2~5cmにくるようにしてマンシェットを巻く。
- 水銀槽のコックをONにする。
- 撓骨動脈の拍動を触診しながら空気圧を上げていき、脈拍が触れなくなった時点の圧(*1)を記録する。
- 次に、ゴム球のネジをゆっくりゆるめていき、再び脈拍が触れるようになった時点の圧(*2)を記録する。
- *1と*2の値の平均値を最大血圧とする。(*1の値を最大血圧という場合もある。臨床ではその方が多い)
- 血圧計を格納する。血圧計の水銀を水銀槽の方へ傾けて全部入れ、コックをOFFにして水銀栓の方へ出ないようにする。
聴診法
- マンシェットを巻く。
- 水銀柱を見ながらゴム球でゆっくり加圧し、触診法による測定値または前回の値に15~20mmHgを加えた位置まで徐々に上げていく。
- ゴム球のネジを少しずつゆるめて減圧すると、心臓の収縮によって大動脈に拍出された血液が圧迫部位の血管を通り、血管音が聞こえ始める。そのときの水銀柱の値を最大血圧とし、心臓の拡張によって血液の拍出がとまると、血管音がきこえなくなり、そのときの値を最小血圧として読み取る。