立位時に認められる姿勢制御戦略
立位時には
- 足関節戦略(ankle strategy):筋力が必要
- 股関節戦略(hip strategy):筋力はいらず、上体と下体の重みでバランスをとる
- ステッピング戦略(stepping strategy):上記2つでは制御しきれない場合
の3つがある。
高齢者の姿勢制御の特徴として、足関節戦略よりも股関節戦略を用いる傾向がある。
平衡機能テストの実際ー虚弱高齢者向けバランステスト
片脚立位保持
- 高齢者では開眼
- 制限時間有なら120秒Maxがベター
平均値は以下の通り
40歳 | 180s |
60歳 | 70s |
80歳 | 10s |
Timed Up & Go(TUG)
椅子から起立し、3m歩いた後でターンして戻り、再び椅子に座るまでの時間を評価
原法
- 通常速度
- 正常:10s以内
変法
- 最大速度
- 再現性が高い
変法の最大速度の平均値は以下の通り
20代 | 5s以内 |
60代 | 7.2s以内 |
80代 | 10.8s以内 |
Functional Reach(FR)
開脚立位で腕を水平に挙上する。どれだけ上肢を前方に伸ばせるかの距離を測る測定法
平均値は以下の通り
20代 | 43cm |
70代 | 34cm |
80代 | 26cm |
Lateral Reach(LR)
開脚立位で腕を水平に挙上する。どれだけ上肢を側方に伸ばせるかの距離を測る測定法
メリットと注意点は同上。
平均値は以下の通り
20代 | 28cm |
80代 | 15cm |
バランスリーチレッグテスト(Star Excursion Balance Testの変法)
片脚立位を開始肢位として、非支持脚の足先を床面に貼り付けたメジャーに向けて(床面に足がつかない程度で)最大限リーチできた距離を測定する。(前方、側方、後方)
敏捷性テスト
加齢により、動作開始時間(神経過程)、動作時間(筋収縮過程)ともに低下する。
高齢者の敏捷性テスト:座位開閉ステップ、座位・立位ステッピング、反応時間、棒反応テスト
座位開閉ステップテスト
椅子座位で足元の30cm間隔の2本の線の内側に両足を置いた姿勢を開始肢位とし、20秒間でできるだけ速く、線を踏まないように開閉できた回数を測定する。
平均値は以下の通り
20代 | 38回 |
80代 | 22回 |
ステッピングテスト
座位あるいは立位でできるだけ速く足踏みを5秒間行わせ、その回数を測定する。
平均値は以下の通り
座位 | 立位 | |
20代 | 50回 | 50回 |
80代 | 26回 | 18回 |
棒反応テスト
検者が予告なく棒を落とし、被験者が何cmのところをキャッチできるか、距離、反応時間を測定。5回行い、最大・最小を除いた3回の平均を測定値とする。
高齢者の歩行
高齢者の歩行パターンの特徴
- 歩幅↓
- 遊脚期の足挙上↓
- 不安定な方向転換
- Push off時の足関節底屈・股関節伸展↓
- 接地時の足関節背屈↓
- 加齢による歩行速度低下
測定するのは以下の図の中央部分
平均値は以下の通り
単位:m/s | 通常 | 最大 |
20代 | 1.4 | 2.5 |
60代 | 1.3 | 1.8 |
70代 | 1.3 | 1.7 |
二重課題(Dual Task)能力
Dual Task能力とは、異なる2種類の作業を同時に行ったときの対応能力のこと
例)計算をしながらのバランス能力(運動+認知課題)
歩行中に話しかけると立ち止まる→転倒リスク大
若年者ではsingle taskとdual taskは同程度だが、高齢者では圧倒的にdual taskが難しくなる
他に参考として…
文部科学省の高齢者向け体力テスト
- 握力(筋力)
- 長座体前屈(柔軟性)
平均値は以下の通り
単位:cm | 男性 | 女性 |
20~30代 | 43.8 | 44.4 |
60~70代 | 36.4 | 39.3 |
- 上体起こし(筋持久力)
30秒間に何回起き上がる動作をできるか測定
平均値は以下の通り
単位:回 | 男性 | 女性 |
20~30代 | 26 | 18 |
60~70代 | 11.8 | 6.5 |
- 開眼片足立ち(バランス)
- 10m障害物歩行(歩行能力)
障害物を2m間隔で6ヵ所に置き、またいで歩く時間を測る
- 6分間歩行(全身持久力)
6分間に何m歩けるかを測る