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多発性硬化症(MS)の治療について

多発性硬化症について
この記事は約5分で読めます。

以下では多発性硬化症(通称MS)の主な治療法について簡単にご説明させていただきます。

なお、個人の症状や状態によって治療法は変わりますので、ここに書かれていない薬であっても、主治医とご相談の上治療なさってください

副腎皮質ステロイド療法

1、副腎皮質ステロイド療法

ステロイドとは体内の副腎というところ(腎臓のすぐ上にくっついている臓器)で作られるホルモンの一種で、1日に約5㎎ほど、朝に多く作られます。糖やタンパクなどを分解してエネルギーを作ったり、アレルギーや炎症を抑えたり、免疫(体の抵抗力)を抑えたりします。

副腎皮質ステロイド療法はこのステロイドホルモンの炎症・免疫を抑える働きを薬として使うものです。点滴治療としてステロイドパルス(代表薬:ソルメルコート)と、内服治療として経口ステロイド剤(代表薬:プレドニン)の服用があります。

 特徴

  • ステロイドパルス:急性期に大量(約1000㎎)のステロイドを短期間(一般的に3日間)で投与し、効果を見ながら1~2週間おきに繰り返します。
  • ステロイド剤内服:急性期以降、ステロイドパルス後、あるいは軽い再発のときに行います。処方される上限は30㎎までで、一定期間服用量が5㎎を超える場合は、副腎が体内でのステロイド分泌をやめてしまうので、自分の判断で服用をやめたり減量したりすると、全身に脱力感を生じるなどの「副腎不全」の状態になってしまい危険です。必ず医師の指示に従って服用するようにしてください。

 主な副作用

  • ステロイドパルス:食欲亢進、のどの乾き、不眠、感染症、のぼせ・熱感など。
  • ステロイド剤内服:食欲亢進、のどの乾き、不眠、感染症、のぼせ・熱感などに加え、ステロイド挫創(にきび)、脱毛・多毛、胃潰瘍、胃炎、多幸感・いらいらなどの精神症状、手の震え、骨粗鬆症、血栓症、中心性肥満(手足は細いが、顔や体幹に脂肪がつく)など。
なお、ステロイドパルス中には血糖値が急上昇することがあり、空腹時血糖(食前の血糖値)を測ることがありますが、あくまで予防として観察しているものなので、驚かなくて大丈夫です。

 

血漿浄化療法

2、血漿浄化療法

血漿浄化療法には、ステロイドパルスが無効な場合に、

血漿分離膜で血球成分(赤血球や白血球などの細胞成分)と血漿(その他の液体成分)とに分離し、病因物質の含まれる血漿を破棄して代わりに同等量の献血で集められた血漿成分(新鮮凍結血漿やアルブミン製剤など)を補充する血漿交換療法と、

血漿を破棄せずに吸着カラムを通して血漿に含まれる病因物質の濾過を行う免疫吸着療法があります。

 特徴

  • 新鮮凍結血漿交換(FFP):献血から集められた血漿をそのまま補充液として使います。血漿には様々なたんぱく質や抗体が含まれているため、免疫の拒絶反応を起こす可能性が少し高いです。また、治療にかかる費用もかなり高めです。
難病申請が通れば保険適応内となりますし、高額医療費制度も利用可能なのであまり費用の心配はいらないですが。
  • アルブミン血漿交換:献血で集められた血漿から、血液中の主なたんぱく質であるアルブミンのみを取り出し、製剤としたものを補充液として使用する方法です。他のたんぱく質や抗体が除かれている分、免疫拒絶の可能性がFFPよりもかなり低くなります。
(水分だけを補充すると、血管内の膠質浸透圧が下がり血液が血管の外へ逃げてしまうので、血液の濃度を保つためにアルブミンを用います。アルブミン自体に特に大きな意味はありません)
  • 免疫吸着:最近確立され、血漿交換と同程度の効果があると言われた方法です。自分の血液を濾過して戻すだけなので免疫拒絶の心配はありませんが、血漿交換と比べると歴史が浅いのでこの治療を受けた人数が圧倒的に少なく、本当に血漿交換と同じ程度の効果があるのかはまだわかりません。また、どこまで濾過できているのかも疑問視されることがあります。

 主な副作用

  • 新鮮凍結血漿交換:感染症、免疫拒絶・重いものではアナフィラキシーショック(確率は1万分の1程度)
  • アルブミン血漿交換:感染症、免疫拒絶
  • 免疫吸着:感染症など

インターフェロン療法

3、インターフェロン療法

再発予防進行抑制効果をもつのではないかと言われている。急性期の治療ではない。インターフェロンβ1a(代表薬:アボネックス)とβ1b(代表薬:ベタフェロン)が知られている。どちらも再発の回数を減らす、再発時の症状を軽減する、身体障害の進行を遅らせる働きがある。

 特徴

  • インターフェロンβ1a:初発から再発までの期間を延長させる。
  • インターフェロンβ1b:3割の症例で有効と報告されている(2010)。

 主な副作用

  • インターフェロンβ1a:インフルエンザ様症状、発熱、頭痛など
  • インターフェロンβ1b:発熱、頭痛、注射部の発赤・疼痛・硬結、倦怠感、嘔気、関節痛など

免疫抑制療法

4、免疫抑制療法

免疫抑制療法とは、一次・二次進行型、あるいは再発寛解型の多発性硬化症に対して、免疫系の細胞全てを抑える免疫抑制剤を投与する方法である。そのため体を異物から守る免疫の本来の働きも失われる。進行型の代表薬としてイムラン、アザニン、エンドキサン、メソトレキセート、ノバントロン、再発寛解型の代表薬としてイムセラ、ジレニアなどがある

 副作用

  • 骨髄抑制、脱毛、胃腸障害、肝機能障害、腎機能障害

など。

参考:患者説明書及び神経障害理学療法学II(ISBN978-4-521-73232-9)

~豆知識として~

日本で現在認可されている再発予防薬は6種類、そのうち妊娠可能なものは1種類です。

ちなみにこの6種類は典型的な多発性硬化症に対しては威力を発揮しますが、

典型例でない患者さんに使用すると逆に再発しやすくなったり再発の頻度が増したり、再発時の症状が重くなったりします。

使用は医師と必ず相談しましょう。

またリハビリについてですが、個人によって症状が異なるため、一定のプログラムはありません。

しかし、筋肉の委縮や筋力低下、関節の動く角度を維持するために、早期からリハビリを行うのが良いと国際的に認められています

リハビリは、

  • 発病まではどんな生活をしていたのか
  • 今現在何に困っているのか、何をしたいのか
  • 退院してから何がしたいのか
  • 社会復帰するために何をしないといけないのか

はっきりと理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ士に伝えるようにしましょう。

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