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障害者として読むパーフェクトワールド/電子10巻まで感想

レビュー

はじめに

本来なら電子書籍10巻まででは感想なんて書くものじゃないなぁと思うのですが、自分なりに思うことがあったので綴ります。

パーフェクトワールドは、初恋の人が障害者になっていても愛せるか、という少女漫画で、映画化もされました。

わたしが病気になる以前から読みたい、映画を見たいと思っていた作品です。
なので感想は、その期待値を踏まえてのかなり辛口になります。ご容赦ください。

気になること

まず医療学生として気になることがあって、それが

単語遣い

です。

恐らく作者はかなり調べられたとは思うのですが、これが一般に浸透すると思うと、正直「まじか」という気分です。

医療本より漫画の方が多くの人の目に触れるので

「合併症は避けられない」

避けられます。

避けられないのは「随伴症状」であり、合併症はきちんと予防をすれば避けられます。

主人公は自分のことを粗末に扱っているので、避けられなくても当然だとは思いましたが

また、漫画なので仕方がないのでしょうが、

褥瘡の位置が違う

んですよね。

褥瘡(じょくそう)とは、血の通わない状態が局所的に続くことで、その部分の皮膚が壊死することです。酷いと骨まで達することもあります。

主人公のように、座った姿勢で褥瘡ができるのであれば、坐骨部分(おしりの辺りです)が妥当だと思うのですが、

漫画で描かれたのは仙骨部分(おしりの上、腰の辺りです)。

これは、寝たきりの人に起こりやすい部分です。
車椅子に座った姿勢で起こすには、背もたれにだら~っともたれ続けないとできないと思うなぁ。だって前傾姿勢でずっと机に向かって、書き続けてできる場所じゃないよなぁ。

ただ、単語遣い、場所違いなどは気になりましたが、それ以外はけっこう気持ち的にアリでした。

お前何様?ですね(-_-;)ご容赦ください。

車椅子ユーザーとして

医療学生としてではなく読むと…

車椅子を使う身として、人ごみに出たときの冷たい視線侮蔑のまなざし、席を外した途端の悪口(聞こえてます笑)というものは、わたしもかなり浴びてきておりますが、それを繰り返し、えぐいくらいに描かれていましたね。

恐らく物語がヒロイン視点だから、「一緒にいるとこの視線にも耐えないといけない。世間の目って冷たい」というアピールだと思うのですが、

このシーンが

障害者にもっと優しくなろうよ

という方向に働いてくれることを祈るばかりです。

きっとそんな目的で書かれてない…(-_-;)

「障害受容」という言葉が出てきたときは「またか…」という気持ちでしたが

障害受容してハッピーエンドって多いので(^^;)
受け入れられていない

という主人公の言葉は共感です。

つーか、健常者に簡単に「障害受容」なんて言葉を使わないでいただきたい。不愉快だ。

治る病気なら良いんですよ。今の状態を受け入れて、これからの治療への活力に変えて、ってする分には良いんですけど、

治らない病気をもつ身としては、

障害をもって良かったなんて思ったことはない

という主人公の言葉は、かなり高ポイントです。

他にも脊髄損傷の病態や苦悩も描かれているので、実際に障害をもつ方に聞き取り調査でもされてから描かれたのかな、と思います。

幻肢痛で夜眠れない、というのも、わたしは幻肢痛ではありませんが共感です。

幻肢痛とは、切断患者などでよく起こる、「ないはずの痛み」です。切断してなくなったはずの手が痛い、など、神経が通っていないはずなのに痛みを感じることです。

わたしがどこに共感したかというと、痛くて夜眠れないという部分ですね。

痛み止め痙攣止めすべて効果なく、あとは麻薬と言われている身としては、毎晩痛みと闘う気持ちはよくわかります。

あと体温調節について。

脊髄損傷患者は体温調節をしにくいと言われていますが、これは

麻痺部に汗をかかない

ためですね。

これ、ガチですよ。

わたしは主に右半身不随と言われていましたが、一度全身不随まで陥ったせいか

真夏の半年間、何をしても汗をかかなかった

んですよね。

できる範囲のあらゆる筋トレをして腹筋何千回とやっても、汗をかかないんです。かけないんです。

かけるようになったのは、退院間近の9月末でしたね。

雨の日の外歩きのリハビリで、初めて

湿っぽいかも。暑いかも。

と感じて、汗をかいていることに気がついて

自分が汗をかけなくなっていたことに気づきました

あと、感じないってすごいですよ。

わたしは今も左腕以外に温度覚があまりないので、家族にドン引きされる格好で外出したりしますが、

だってわからないんだもん。

そして倒れるわけですね。その辺りも深く共感です。

障害者の家族の思い

途中で、主人公の母親がヒロインに

「障害者の重荷を誰かに背負わせてでも、息子に幸せになってもらいたい」

という心情を吐露するシーンがあるのですが、

無理です
重荷を誰かに背負わせてでも、っていう発想がむしろ健常者だなあと思います。
障害者である重荷は、障害者本人にしか背負えない

し、

周りがどれだけ理解しようと、それは「理解」でしかない
同じ体験をすることはできない
同じ苦しみを背負うことはできない

んですよ。

障害者としての重荷なんてたくさんあります。

それこそ描かれたみたいに「世間の目」であったり、「雇用、教育」であったり、「家族にすら言えない苦悩」であったり、むしろ「社会からの疎外感」であったり…

わたしの場合は現社会潰れろ!って感じなので、疎外感はありませんが(*^^)v
潰れて、障害者にも優しい社会になってほしいなあと思うんですよ
でも、それらを「本当の意味でわかる」ことなんて、誰にもできやしないんですよ。
だって、違う人間だから
わたしのことを冷たい人間だと思うかもしれませんが、これがわたしの行き着いた結論でした。
 
伝えないと理解されないし、伝えたって「わかってもらう」ことはできない
だってわたしの痛みも苦しみも、どんな思いで、どんな状態でこの文章を綴っているのか、誰もわからないでしょ?
 
言葉って難しいんです。ましてや、刻一刻と変わっていく体内の状態を伝える術を、わたしたち人間は言葉以外にもたないから。
 
もちろん表情や声も含みますよ。
ただそれを見たって、聞いたって、あなたは何ができますか?
 
重荷を誰かに背負わせるという発想が健常者だなあと感じただけで、健常者障害者ともに責める意図はありません
きっと家族の心情としてはそうなのだろうけれど、本人はそんなに気楽ではありません。誰かに背負わせられるなんて考えていません。
 
どうしたら、これを自分で背負いきれるか
 
そのことで頭はいっぱいです。
 
わたしは妙に行動力のある病人(手帳のない身障者)なので異端かもしれませんが、
自分で背負わなければならないという自覚
は病人障害者誰もが持っていて、むしろその自覚があるからこそ
認めたくない、信じたくない
という苦しみが生まれるのだと思います。そこは共通な気がしています。
 
まあ家族の思いに反発したって仕方がないんですけど(^_^;)
性格の悪さが露呈するだけだな(-_-;
 

まとめ

以上を踏まえまして、医療学生としては

医療知識甘いんじゃね?

と言いたいですが、障害者(病人、車椅子ユーザー)としては

心情はまあ描けてるかな…

という感じでした。

いかんせん作者は健常者なので←重要

障害者視点の話は描けないんだろうな

と思います。

じゃあお前が描けよって話ですが、わたしは絵が下手なのに加えて、利き手が麻痺しているので、(そしてペンをもつのが痛いので)
ネット小説が限界でございます。

あの全身が動かないあの絶望感も、

食事すら自分でできない無力感も、

一人でトイレに行くことすらできない恥ずかしさも、

最終的にはナースコールすら押せなくなったあの日々も、

わたしは忘れていませんよ。

そしてこうして締めくくるわけです。

誰か障害者が障害者視点の漫画を描けばいいんじゃない?
資本主義の難しいところですけどね…
描いたところで出版されるか
きっと出版されるのは、その絶望から立ち直って元気に暮らしている人の配偶者とかが描いたものなんだろうなと思います。
絶望の中で、ひとは希望を探すから。

だからわたしはあえて絶望を綴ります。

立ち直ることがすべて良し
すべてのひとが立ち直らなければならない

なんてことは絶対にないと思うから。

そして、絶望の中で、

みなさまに幸あれと祈ります。

以上、障害者(病人、車椅子ユーザー)として読むパーフェクトワールドでした。

気になる方はこちら↓

または定額サービスより

映画版は、まだ見れていないんですけど(^_^;)一応こちらから↓

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まぁるいせかい管理人
haruka(はるか)

多発性硬化症+名前も研究中の希少難病などを併発した23歳女子。京大医学部中退。仕事は小説家とライターとカウンセラーと極秘。
今の夢はお嫁さんと福祉用具開発プロジェクトの成功☆
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