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臨床運動機能学vol.2

臨床運動機能学
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Kinetics

Kinetics;運動力学の話

人体にかかる力は4つの合力で決まる。その4つとは

  • 重力
  • 慣性力
  • 重力の反作用力
  • 摩擦力

である。また、重力の反作用力と摩擦力の合力を床反力という。

 

重力と慣性力は身体重心点COG;Center of Gravity)を中心に働き、

重力の反作用力と摩擦力は足圧中心点COP;Center of Pressure)を中心に働くと考える。

 

COPは床から受ける力の平均の中心であり、必ずしも床に接しているとは限らない
COGは姿勢によってのみ決まるため、必ずしも身体中に存在するとは限らない
座位で前かがみになる、ブリッジなどは重心が身体中にない姿勢の例である
立位のまま前に倒れても重心位置は変わらない
COGは身体各セグメントの合成中心と考えられ、加重平均として
(w1x1+w2x2+….+wnxn)/(w1+w2+…+wn)として導かれる。
COGは立位では第2仙椎前面にある。

また、重心位置と支持基底面(BOS;Base of Support)は関係しない。

 

力と運動

重力も慣性力との合力で斜めを向く。

ジャイロセンサーなどで慣性力を取り除くことのできるが、慣性力と重力はほぼ見分けがつかない

床反力と、重力と慣性力との合力偶力が生じる

偶力によって回転するのが人間の動き全般であり、慣性力と摩擦力で前後の回転力が決まる

氷の上を歩くには上から踏みしめる→摩擦力を減らして滑らないようにするため

ジャンプして着地した瞬間には、重力よりも大きな力が床反力として返ってくる摩擦力の式:f=μNのNを大きくできるので、摩擦力が大きくなり、このときに人を押すと、摩擦力の反作用力で、普段よりも強い力で人を押せる。この原理を利用したものが、中国の拳法にある。

 

押したら危ないから押さないでね…

 

偶力について→https://harukams-medicalbeauty.com/ruk3/

 

略語一覧

COG;身体重心点

COP;足圧中心点

ZMP(zero moment point):COGの、慣性力と重力との合力の延長上にある、床への投影点

BOS;支持基底面

GC;歩行周期

 

歩行について

歩行については、様々な理論が提唱されてきた。

基本用語

まず基本用語を忘れないようにメモしておく。

歩幅(Step);片足のつま先から、もう片方の足のつま先までの距離
重複歩距離(Stride);片足のつま先から、同じ足のつま先までの距離
歩隔(Step Width);歩行時の左右の足の、外側から外側までの距離
歩行周期(Gait Cycle);片足が接地してから同じ足が再度接地するまでの時間
歩行率(Cadence);単位時間あたりの歩数(Steps/min)

歩行周期↓

通常歩行速度;4km/h
ストライド;通常歩行で身長の89%、速い歩行で身長の106%

歩行理論

歩行の理論については多くの議論がなされ、主としては

歩行の6決定因子理論→倒立振子理論→動歩行理論

との変遷を辿った。

 

歩行の6決定因子理論(Six Determinants of Gait Theory)

局所の運動(Key Determinants of Gait;骨盤の回旋、傾斜、側方移動、立脚期の膝の屈曲、膝の運動、足部の運動)を原因として、全体の運動という結果が生じるというもの。

全体の運動には2通りあり、

正常歩行:身体重心(COG)の変動を最小化した歩行
異常歩行:運動要素(Key Determinants)に異常が生じた歩行

である。

異常歩行では局所の運動が原因で全体の異常が生じていると考える。

ただし、ここで正常歩行とされているのは、頭が上下しない、骨盤の高さが変わらない…などの、少し変わった歩き方である。

倒立振子理論(Inverted Pendurum Theoty)

全体の運動(Exchange of Kinetic Energies;力学的エネルギーの変換)を原因として、局所の運動に結果が現れるというもの。

ここで局所の運動の問題とされるのは、股関節の運動、膝関節の運動、足部の運動であり、

正常歩行:身体重心(COG)の変動を最適化した歩行
異常歩行:身体重心(COG)の振子運動を形成できない歩行

異常歩行では、全体の運動を原因とみなす。

ただし倒立歩行理論では、

COGの軌跡が実際のものとは微妙に合わないこと
COGの変動(h)はほぼ一定なので位置エネルギー(mgh)はほぼ一定となり、力学的エネルギー保存則により、理論的には体力を使わず無限に歩き続けることができるはずだが実際にはできないこと

などから、少し違うんじゃ?となった。

実際の歩行では、「摩擦」が生じるため、エネルギーの一部は失われる。

動歩行理論

倒立振子理論を拡張したもので、COGの移動や摩擦も含めて考えられた理論

倒立振子理論で問題となった、「設置時に失われたエネルギーをどう補っているのか」について、COGとCOPのバランスを考えて示された理論で、「push-off時に力を加えている」、

特に、

股関節伸展筋の収縮力が、歩行できるかどうかを決定する

とした。

また、

運動の向きは、両脚立脚期における力の加え方で決まる

ものとした。

Push-off時の力が力学的エネルギーの損失を補い、

接地時の摩擦力と、Push-off時の力との2力の合力が、両脚立脚期にCOGをぽんっと押し上げ、更に、運動の方向を決定する。

これをFlying Ball Analogyという。
これらの理論はあくまで歩行時であり、走行時には、位置エネルギーと運動エネルギーのMaxが同時(両脚遊脚期)になる。これらのエネルギーは、接地時には「腱の弾性エネルギー」として保存される。
歩行のメカニズムは共通だが、年齢や疾患によって問題となる箇所が異なるため、評価などが重要となる。
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