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意外に多い「統合失調症」の基本知識

ケアストレスカウンセリング

精神異常者」などの偏見を受けやすい統合失調症」ですが、その発症率はおよそ100人に1人とかなり多めと言えます。

そんな統合失調症について、誤解がないよう正しい知識を身に着けておくことは大変重要です。

またもし自分や身近な人がかかったときに焦らないよう、ぜひ基本的なことは知っておいてください。

統合失調症の基本

概論

  •  罹患率:約0.8%。男女差はなし
  • 思春期~青年期(15~35歳)に好発
男性は15歳~20代でと女性より早めが多い
  • 発症(顕在化)前から前駆症状がある
  • 原因は未だ不明
脆弱性のストレスモデル(元々精神的に脆いところがあり、そこにストレスが加わること)で発症するのでは?と言われている
  • 高い自殺率
  • 機能的転帰は多くは不良
ただし適切な治療を受ければ、決して治らない病気ではありません
機能的転帰:日常生活、社会に戻ること

症状

 中心となる症状により、「破瓜型」「妄想型」「緊張型」という3タイプに大別されてきました。

DSM-5では「3タイプに厳密に区別できないケース」があることからこれらの類系の使用をやめましたが、依然として重要視されている分類です。

  • 破瓜型思春期に始まり、陰性症状が主体のもの。
  • 妄想型青年期から中年期に始まり、陽性症状が主体のもの。
  • 緊張型青年期に始まり激しい陽性症状が主体のもの。

陽性症状:妄想や幻覚など「ないものがあるように感じる」症状。統合失調症では独語や妄想性人物誤認などがあるのも特徴。

陰性症状:感情や思考力など、通常あるものが低下したりなかったりする症状。

現在はDSM-5とICD-10が臨床症状と経過に基づく診断を推奨しており、診断の一致率向上に役立っています。

また上記に分類されてもされなくても現れることの多い症状として下記が挙げられます。

  • 意欲・興味の低下
  • 応用力・想像力・学習能力・判断力・現実検討力などの思考面の低下
  • 認知機能障害(ワーキングメモリ・記銘力の低下)
  • 手先の複雑な動きが苦手になる
  • 疲れやすい
  • ミスをしやすくなる
  • 物事の微妙なニュアンスがわかりにくくなる(感情の理解力の低下)

その結果、人付き合いが苦手になり、引きこもることもあります。

躁うつ病、うつ病、神経発達症などに合併しうる「緊張病症状」や、不安や緊張・病識欠如などの「非特異的症状」、自他の境界が曖昧になり独立性が低下する「自他障害」を伴うこともあります。

「統合失調症」成立まで

Kraepelin E.(ドイツ、19世紀末)が精神病を早発性痴呆(Dementia Praecox)躁うつ病に大別します。

早発性痴呆:早期に発症した認知症のこと。これが現在の統合失調症へ

Bleuler E.(スイス、20世紀初頭)が早発性痴呆を精神分裂病(Schizophrenia)と呼称変更。

Schizo(=split)+phrenia(=soul)魂の分裂状態としました。

しかし日本語での響きが悪いため、和名は「統合失調症」へ変更しました。(2002年)

ただ双極性障害と統合失調症との関連が深いと以前書いたように、双極性障害と統合失調症との鑑別が困難なこともあります。

自殺と偏見と無理解

統合失調症は薬物療法リハビリテーションにより症状の大幅な改善社会生活への復帰を期待できる疾患です。

治療を妨げるものは、周囲の無理解偏見が多いのです。

自殺リスク

発症してから数年間、あるいは病状が不安定なときに自殺リスクは非常に高くなります。

「死ね」という幻聴に支配されたり、被害妄想から逃れたくなったり、苦しい現実から別れたくなったり、理由は様々ですが発作的に自殺してしまうことがあります。

また病気置かれている状況に深く絶望して自殺することもあり、うつ病よりも自殺予測が難しいと言われています。

現実を悲観的に見たり孤立したりしないように、周囲がサポートする必要があります。

原因

脳内の神経伝達物質であるドーパミンの働きが過剰であると考えられていました。

ドーパミンの働きを遮断する作用を持つ薬が症状を抑えることから推測されたこと
ただしドーパミンの減少セロトニン遮断薬の関与などもあり、現在は神経伝達物質全体の関与ではないかと考えられるようになってきました。

発症要因は1つではなく

  •  遺伝的素因 
  • 性格因
  • 生育環境
  • 誘因(状況因)

など複数の要因が絡み合って発症します。

遺伝的素因

遺伝病とは異なり、遺伝的に多少かかりやすくなる傾向のことを表します。

同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも、一方が統合失調症にかかった場合の他方の発症可能性は30~60%です。

また子供では約15%、兄弟姉妹では約10%、孫では約3%といわれます。
一卵性双生児の発症可能性は低めであるものの、MRIでは類似の異常がみられる=生育環境も重要

性格因

病前性格

非社交的、過敏、冷淡、鈍感、無頓着、臆病などがあります。

ただし性格を直せば発症を防げる病気でもないので、上記性格が原因とはいえません。

虐待を受けたなど過剰なストレスで発症に関連していると思われるケースも

神経生物学的特徴

統合失調症の神経生物学的特徴は「灰白質の体積減少」です。

背外側前頭前皮質での灰白質体積減少が最も顕著にみられます。

背外側前頭前皮質に投射している視床内側核では細胞体減少の可能性もありますが、細胞体ではなくシナプスが減少しているのが特徴です。

側頭皮質、頭頂連合野でも重層のシナプス減少
灰白質の体積減少度は罹患期間や薬物療法期間よりも症状の重症度と相関があり、遺伝リスクのある人初発患者にも認められます。
症状出現前から存在し、前駆期や初回エピソード(急性期)にさらに進行すると考えられます。

治療

薬物療法リハビリテーションが基本です。

薬物療法

幻覚や妄想の改善後も、再発予防のために一定量の抗精神病薬を継続して服薬することが大切といわれています。

改善したからといって服薬をやめると、1年後には6割以上が再発するといわれています。
特に再発経験がある場合は服薬し続ける方が良いと考えられています。
2018年4月、ブレクスピプラゾールが発売開始。即時性はないもののドーパミン受容体やセロトニン受容体とも親和性が高く、長期使用しても副作用が少ないのが特徴。大きな問題はアカシジア(脚のムズムズ感で動かしてしまう)。
出典:東京女子医科大学精神医学講座准教授稲田健氏の論文と考察より
急激な陽性反応が出るなど症状が悪化したときには、効果が早く得られる注射剤が用いられます。

リハビリテーション

リハビリテーションは、周囲から理解が得られない場合引きこもってしまうため、社会生活上必要な刺激を得るためにも重要と考えられています。

他にも本人に合ったペースで物事にゆっくりと取り組むコツを掴めるように訓練することも大切です。

家族のサポート

統合失調症では外部からの刺激に過敏になるため、相手が家族であっても感情を出される(家族感情表出)と重荷に感じます。

敵意否定的な関わりだけでなく、過保護過干渉も再発率を高めるといわれます。
本人への「薬はいつまで飲むのか」「ごろごろ寝てばかりでは良くないのでは」などの「答えに詰まるような発言」もNG

これらの言語的圧力再発率を高めます。

統合失調症についての家族教育により、家族自身も安心し温かく見守ることができ、本人もゆっくりと回復過程を歩むことができます。

参考:精神医学各論資料及び以下

haruka(はるか)の補足

これは資料に基づいたものでも何でもありませんが、

「かかってしまったものはしかたない」

んですよね。それがどんな病気だろうと。

だから回復を焦るのではなく、急かすのではなく、「ゆっくり物事を進められるよう」に努力するぐらいの気持ちで治療にあたった方が、

「自分はゆっくりすることを頑張っている」

「あの人はゆっくり治療していこうと頑張っている」

という見方ができると思います。

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