はじめに
わたしが病みツイ中心にリプするせいもあるのですが、最近「なんでやねん」とツッコミたくなるような、逆に追い詰めてしまうようなコメントを返される方をよく見るので書きました。
難しいですけど、うつ病の正しい理解を求めます。
うつ病と躁うつ病の違いはこちら
うつ病とは
まず絶対に誤解してほしくないことが、
うつ病は病気であって怠けではない
ということです。
日本人の罹患率は10人に1人、女性だけだと5人に1人。
「うつは心の風邪」と言われるくらい、
ですし、
風邪ほど軽くもありません
よく「うつになる方が悪い」だったり「うつなんて心が強ければ治る」なんて言う方を見かけますが、
それは間違いです。
うつ病には、精神、小児発達分野で診断基準とされる、アメリカのDSMという、きちんとした診断基準があります。
特に2019年1月現在において最新版であるDSM-5では、
A基準
- 一日中、ほとんど毎日続く嫌な気分(どんなことがあっても改善しない)
- 何をしても楽しくない、それまで興味の持てたどんなことに対しても興味がなくなる
どちらかが最低2週間続く
となり、
B基準は更に細かくなりますが、こちらはうつ病によくある症状として書かせていただきます。
うつ病によくある症状
- 体重減少(まれに増加)
- 不眠(まれに過眠)
- 行動障害として、焦燥あるいは制止(動きが鈍くなる)
- 疲労(エネルギー切れ)
- 自分を責める
- 集中力(判断力・決定力)の低下
- 希死念慮
以上が2週間以上ほぼ毎日続きます。
重度のうつ病になると、
- 罪業妄想(取り返しのつかないことをしてしまった、皆に迷惑をかけてしまってどうしようもない、など)
- 貧困妄想(お金がなくて明日から生きていけない、お金がなくて家などもすべて手放さなくてはいけない、など)
- 心気妄想(不治の病にかかってしまった、ガンでもうすぐ死ぬに決まっている、など)
の症状があります。
治療と対応
治療
まずうつ病の治療に当たるにあたって、うつ病を疑う前に、隠れている身体、神経疾患がないかを調べることが必要です。
たとえば…
若い人では甲状腺異常によるホルモン異常が多いと言われていますし、脳梗塞やパーキンソン病、認知症などの「別の病気」の「症状」としてうつが現れていることがあります。
この場合は、元の疾患を治療することでうつ症状の改善をはかることになります。
他の病気によるうつ症状でない場合、
- 薬物療法(抗うつ薬、睡眠薬など)
- 充分な休養
- 精神療法(認知行動療法など)
が治療となります。
特にこの充分な休養ということが大事です!
対応
以上の症状を見てもわかる通り、うつ病患者は「ただでさえ自分を責めている」ので、
- うつ病患者に努力を促すのはNGです。
- うつ病患者にリーダー役などの役職を「病気改善になるかも」と新たに与えるのはNGです。
- うつ病患者に長い工程のリハビリ(作業療法)をさせるのはNGです。
- うつ病患者を「動作が遅い」「前はできたでしょ」などと責めるのはNGです。
- 「君が死んだら遺された人は…」などの声かけはNGです。
- 「君が死んだら悲しむ人がいる」などの声かけはNGです。
- 「みんなつらい、みんな苦しい」などの声かけはNGです。
あくまでも、ご自身主体で、
- 「君が死んだらわたしは悲しい」など、みんなや世間ではなく「わたし」がどう思うかを伝えるようにしてください。
- また、過度の努力を促す言葉や、将来への期待を無理にさせる声かけはやめてください。
復職支援について(少しだけ)
大抵は、充分な休養が取れた後、薬物療法と同時進行で復職します。薬物療法が終わってからではありません。
仕事内容が変わらないことが望ましいので配置転換は積極的には勧めませんが、大変だったり嫌なことがある場合は配置転換をお願いします。
発症前よりも短い勤務時間をお願いします。
ストレスへの対処法について(仕事の割り振りなどについても)の心理教育を行います。
最後に
うつ病になる方は、すごく真面目で、もしくは几帳面で、責任感の強い方が多いです。
うつ病では、理由もなく死にたくなることが「病気」の「症状」としてあります。
これは精神医療界隈では有名な話ですが、
というものです。
「死にたい」もうつ病患者の最後の悲鳴の可能性があるので要注意ですが、
「死にたいと言わなくなったときにも」同様の注意をお願いします。
以上、自分の体験も交えて書いてきましたが、すべての人がこの通りとは限りません。
最後は個人に寄り添うことが大切になってきます。
患者兼医療学生としてとうつ病まとめは以上です。
うつ病の正しい理解と、長い目で温かく見守ってくださるよう、どうぞよろしくお願い致します。
参考:精神科学授業内容及び実体験及び
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/160731.pdf&ved=2ahUKEwjO8_j80YvgAhULA4gKHSe6ChEQFjAAegQIBxAB&usg=AOvVaw03t4G9b2lXVwYvJEFvJLKW