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「全身不随の苦しみは理解されないところにある」|体験談

闘病記録(入院記録)
あなたは体が動かせなくなる未来を想像したことはありますか?

わたしはあります。

というよりも、想像する前に体験したというほうが正しいで。

このページを音声入力している2020年10月26日、その 4日前から毎日、体が動かなる経験をしている身として、これは2年半前にはずっと全身不随に苦しんでいた経験をそろそろ伝えなければならないのかなと感じました。

体が動かないことの苦しさを伝えることもわたしの使命だと思っています

全身不随とはいえ、わたしの場合は「神経の信号が途切れることによる全身不随」と「硬直痙攣による全身不随」なので、一般の脳卒中などの麻痺による全身不随脊髄損傷による全身不随とは異なるでしょう。

脊髄損傷とは自分の体温が調整できないという意味で似た点もあるのですが、ここでは割愛します

全身不随の苦しみへの想像

さてはじめの問いに戻りましょう。

あなたは自分の体が自分の思い通りにならない未来を想像したことがありますか?

これを読んでくださっている闘病仲間のみなさまは、まさに今その状態に苦しんでいるかもしれません。

これを読んでくださっている以前の医療仲間のみなさまは、そんな状態の患者を目にすることはあっても、自分が陥るとは想像していないかもしれません。

とにかく大半の方は、想像したことはないのでは?と思います。

だって、思わないじゃないですか

誰が自分の体が動かなくなる未来を想像して生きていますか?

わたしが診断前、どんどん体が動かなくなっていったように。

「なんか今日右半身動かないから、パソコン入力は任せるね」と同級生にお願いしたように。

そこから緊急入院になったと思えば全身不随に陥ったように。

誰も、自分の体が動かなくなるとは思って生きていない。

「自分が今この瞬間死ぬかもしれない」と 思って生きてはいても、「自分が今この瞬間に全身不随になるかもしれない」と思っては生きていない。

医療に携わる人は特にでしょう
まさか患者が自分になるなんて、って、少なくともわたしは後々思いました

わたしは病気の知識はたくさんありました。

得意な科目は病理学。内科疾病論・外科疾病論も最優秀を修めています。

次期ノーベル賞受賞者といわれる先生に「君みたいな子が医療者になるべき」とまで褒めてもらっていました

それでも、自分がその病気にかかるとは思ってもいなかった

診断されたときには「知ってる病気だ!」とテンションは上がっても、難病だと沈むことはありませんでした。

でも、全身不随って、苦しいです

当たり前と思うかもしれません。

今さら何を言うんだと思うかもしれません。

そんなの言われなくてもわかると思うかもしれません。

でもやっぱり、何度も全身不随になる当事者として言わせてください。

「全身不随は苦しいです」

起きて体が動かなくなっていて、首すら動かなくて、なんとか口を動かして助けを呼んでも、誰も来なくて。

ナースコールが押せないからと設置されたビッグナースコールすら押せるほど首が振れなくて。


木板の上に小さなゴングのようなベルが付いていて、微振動で反応する

誰からも気づいてもらえないまま、何時間も何時間も薬すら飲めないで。

ようやく首が動いた!と思って首を振った勢いで傍に出しておいた薬を舌を伸ばして飲み込んで、コップに入れておいたお茶に鼻ごと口を突っ込んで、犬みたいにしてなんとか薬を飲んで。

そして数時間経てば体が動き出すと信じて

痛みの中、耐えるしかない。

それは、とても苦しいです。

体が動かないという身体的な苦しみだけではなく、人間としての尊厳がなくなったように感じるのです。

何の助けを呼んでも誰も助けてくれない

病院でも家でも、誰にも聞こえていない

ただ「苦しいつらい」と、「助けて」と 声の限り叫ぶけれど、口や喉の痙攣もあるからその声も大きいとは言えなくて。

誰にも届かなくて

届かない助けを求めることに疲れて

ただもう諦めてしまった方が楽に感じるんです。

「誰も助けてくれない」と思った方が、もう傷つかないから。

そして、心を閉ざすんです。

だって、コップが重くて、スプーンが重くて持てない苦しみなんて知らないでしょ?

医療者へ

もし治療していく上で患者さんが心を閉ざして話さないというのならば、「諦めた方が楽」で「誰も助けてなどくれない」と思っているからでしょう。

「わたしはあなたを助ける」なんて安易なことは言わないでください
その言葉に何度も裏切られてきたんです

望むことはただ一つ。

「助けられないのなら、放っておいてほしい」

どうせあなたは、わたしたちが苦しんでいるときにリアルタイムで助けることはできません。

ただそれでも苦しみに寄り添ってくれるというのなら、話を聴いてください。

どれほどつらくて苦しいのか。

それは、あなたが考えているよりも、重くて 重くて重い話です。

それでも途中で投げ出さずに聴いてください。

もし聴いてくれたのなら、わたしたち患者はあなたたち医療者を信用するし、尊敬するでしょう。

わたしたちの生きる世界は

わたしたちは毎秒、生きるか死ぬかの世界に生きている
わたしたちは毎秒、体が動くかどうかの世界に生きている

それを忘れないでほしいのです。

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